FC2ブログ

記事一覧

(連載小説)憑依の研究 第3話 ある女教師の放課後

「先生、さようなら~」
「…はい、さようなら。気をつけて帰るのよ」
すれ違う女生徒たちの挨拶に一瞬だけ値踏みするような視線を送った後、笑顔で応じる美人教師。
表面上は普段の妙穂先生にしか見えない。
(一体、何がどうなってるんだ?)
俺はその様子に戸惑いながらも、彼女がどういった状態なのか見極めるためにも尾行を続ける。
彼女は校内を通り過ぎると、体育館の方に向かう。
そして女子更衣室の前まで来ると、躊躇うことなくドアを開ける。
中では数人の女子生徒が着替えをしていた。
「あれ?どうしたんですか、先生」
「ちょっと校内を見回り中なの、これも教師の大事な仕事なのよ。気にしないで続けてね」
少し首を傾げながらも着替えを再開して下着姿になった女子たちを妙穂先生は黙って上から下まで眺める。
そして一人に後ろから近づくと、胸とお尻に手を伸ばして感触を確かめるように撫でまわす。
「せ、先生!」
触られた女子は顔を赤らめ、叫び声を挙げる。
「あら、ごめんなさい。あんまり可愛い下着だったから触り心地が気になったの。ほんとごめんね、突然触ってしまって」
「い、いえ、大丈夫です、女同士ですから…」
「そう、よかったわ。じゃあ私、見回りを続けるね」
そう言って更衣室を去る。

今度は体育館の中に入ると付属している練習室に向かう。
そして、一人片隅で練習しているレオタード姿の女子に目をつける。
彼女は水無月渓子(みなづき けいこ)。俺と同じ2年生で新体操部のエースだ。
校内で1、2を争う美少女で、普段はロングの髪型を今はポニーテールにして快活なイメージがある。
渓子が妙穂に気づく。
「先生、どうしたんですか?」
「うん、いま校内を見回り中なの。コーチの方はどうしたの?」
「今日はお休みで自主練の日なんです。といっても私一人ですけど」
「練習熱心なのね。ちょっと見学してもいいかしら?」
「どうぞどうそ。先生に見られてると思うと、練習に身が入ります」
妙穂先生はパイプ椅子に座って練習を眺めていたが、しばらくすると立ち上がり、ボールを持ってポージングの練習をしている渓子に近づく。
「ここはこうやって胸を張って、お尻は突き上げた方がいいんじゃないかしら?」
そう言いながら渓子の胸とお尻に手を伸ばし、両方を下から持ち上げる。
「!」
突然の出来事に渓子は顔を赤らめながらも、真剣に修正されたポーズを維持する。
「ごめんなさいね、余計なお世話だったかしら?」
「い、いえ、大丈夫です。貴重なご意見ありがとうございます」
「ふふ、それは良かったわ、練習頑張ってね」
「はい!」
満足した妙穂先生は、ふたたび校舎へ向かう。

保健室の前を通りかかった時だった。
ドアを開けて白衣を着た女性が出てきた。
「あら?妙穂じゃない」
彼女は平井木綾香(ひらいぎ あやか)先生。この学校の養護教諭…平たく言えば保健室の先生である。
端正に整った凛々しい顔立ちの上、成熟した大人の色香の持ち主だ。
長い髪を今は首の横で束ねていて、清潔感を出している。
スタイルも良く、特に腰から足にかけて美しいラインを描いている。
性格はサッパリとしたマイペースな人で、美貌と相まって面倒見の良い先生として人気がある。
妙穂先生が『綺麗で優しいお姉さん』であるなら、綾香先生は『美人で頼れる姐さん』といった感じだ。
二人は同期で仲が良いらしい。
「…校内じゃ椎木先生と呼ばないとダメでしょ、平井木先生」
「他に誰も居ないんだから別にいいじゃない。それより時間ができたらでいいから少し顔を出してくれない?一人で仕事してると気が滅入ってくるのよ」
「…そうね、折角誘ってくれたんだから『そっち』も楽しみたいわ。でも『こっち』の用事がまだ終わってないから」
妙穂先生は綾香先生を上から下まで眺めてから楽しそうに答える。
「?、よくわからないけど、当てにせずに待ってるわね」
違和感を感じた綾香先生だったが、たいして気にせずに去って行く。
その後ろ姿を笑みを浮かべて見送った妙穂先生は、今までより少し早い足取りで歩き始めた。
関連記事

コメント

コメントの投稿

非公開コメント