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(連載小説)憑依の研究 第2話 遭遇

放課後になってすぐ、俺は幽体離脱して校内を徘徊していた。

(女子の着替えでも覗かせてもらうか)

学校の敷地内は問題なく移動できそうなので、俺はとりあえず体育館に向かう。
その途中、職員室の前を通りかかった時だった。
俺は異様なものを発見する。
いや、それを言うなら今の自分もそうなってしまうのだが、とにかく同じように幽体離脱した霊体だ。
しかもそいつの色には見覚えがある。

(あいつじゃないか!)

霊体の濃い青色は、あの用務員が纏っていたオーラと同一だ。
とにかく気づかれぬように様子を伺っていると、用務員の霊体は遠慮なく職員室に入っていく。

(何をする気だ?)

俺は後を追ってドアまで移動して、様子を伺う。
そいつは部屋の中を見渡し、目的の人物を見つけ一直線に忍び寄ると、机に座って作業に集中している女教師…椎木妙穂を眺めはじめた。
しばらくすると一息つこうと思ったのか、妙穂先生が体を起こし椅子に背を預ける。
すかざず霊体は周りの視線がこちらに向いていないことを確認すると、霊体の拳を振り上げ、先生を殴りつける。
すると先生の魂の輝きが急に弱々しくなると同時に、先生の体は脱力して椅子にもたれかかり、目を見開いたまま気を失ってしまった。
その様子に青い霊体は満足そうに1つ頷くと、先生の体に覆い被さる。
密着した状態になってからも、ゆっくりと先生の体に沈み込んでいく。
やがて薄いピンクのオーラが濃い青のオーラに浸食されてしまい、女教師の体に完全に同化してしまった。
次の瞬間、見開かれた目が瞬きすると、青いオーラを纏った妙穂先生の体は意識を取り戻して体を起こし、自分の細い手を見つめる。
具合を確かめるように手を開けたり閉じたりしていたが、やがて自分の胸に押し当てて、そこにある豊かな膨らみを確認すると笑みを浮かべて立ち上がる。
そして彼女は職員室を抜け出そうと、こちらに向かって歩き始めた。
目の前で起こった驚愕の出来事に思考が止まって棒立ちの俺だったが、慌てて天井付近まで浮かび上がりやり過ごす。

(とにかく後を追わなくては!)

普段は生身での移動の感覚に慣れているせいか普通に歩く感覚で移動してしまうが、意識すれば宙に浮いて移動できる。
他の連中に俺は見えないのだから、彼女の真後ろを天井すれすれで移動すればよかった。
やがて彼女は職員用のトイレに入っていく。
うっかり男子のほうに行きそうになるが、すぐに気づき愉快そうに笑うと女子のほうに入る。
俺は彼女の視界に入らないように注意しながら近づいて様子を伺う。
妙穂先生は洗面台の鏡を覗き込み、いろんな角度から自分の顔を確認すると、その美貌に満足したかのように1つ頷く。
次に異常でも感じたのか、自分の体を確かめるようにあちこち触り始める。
特に胸とお尻は念入りに確かめ、異常が無かったのが嬉しいのか少し下品な印象の笑みを浮かべる。
丁寧な身体検査を終えた先生は鏡に向かって満足そうに頷くと、自分の記憶を辿るように呟き始める。

「…俺の名前は…妙穂…そうだ、俺は椎木妙穂…」

すると先生の纏うオーラに変化が起こる。
青色のオーラの表面にピンクのオーラが浮かび上がり全身をコーティングしていく。
口元では確認するように呟きを続けている。

「…24歳…この学校の教師…担当は国語…」

同時に下品な笑みを浮かべていた表情も落ち着き、いつもの優しく微笑む妙穂先生に戻っていく。

「…好きなスイーツはアップルパイだったわね。うん、いいみたいね。どこから見ても私はこの学校の教師、椎木妙穂だわ」

鏡の中に映る自分の姿に納得するように頷く。

「それじゃあ校内を物色…じゃないわね、教師として見回りに行こうかしら」

先生はトイレを出ると落ち着いた足取りで廊下を歩き始めた。
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コメント

No title

遅くなりましたが、昨夜寝る直前一気に8まで読みまして、すぐ使わせていただきました(^^)

まず主人公が憑依するところではなく、他人(それもゲスな奴)の憑依を目撃するところから始まるというのが意外性もあって惹き付けられました!

あとなんといっても相手の魂(意識)をまとって成りすませるところに大興奮です! ピンク色のオーラでメッキをする表現もあって、読んでいてイメージしやすかったのも良かったです。

コメントありがとうございます

実は序盤の構成はネトラレ要素、オーラを纏う設定は皮もの要素を私なりにアレンジして作品に取り込んだものです。

オーラの設定が上手く出来たおかげで、話の展開がスムーズになったと自分では分析しています。

まだ数は少ないですが他の作品も読んで頂けると嬉しいです。

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