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(連載小説)憑依の研究 第10話 汚染


数回の憑依を経験して、この能力を使って楽しんでいくことに迷いは無くなった。
だが、それでも女性たちを精神的に追い詰めるのは避けたかった。
特に見知った女性たちは。
それがエゴであることは重々承知の上での素直な気持ちだ。
放課後訪れた用務員室で、そういった趣旨のことを語ったのだが、自分でも驚くくらい熱が入ってしまった。
逆に冷めた様子で話を聞いていた秀作さんだったが、聞き終えると感想を述べる。

「…わかった。俺としても女たちに恨みがある訳でもないし、長く安全に楽しみたいしな。でも二人で動くときはこれまで通り、俺が仕切るぜ?そこは譲れない」

異論はない。
秀作さんの段取りの発想は天才じみたところがあり、以前問題に感じていたムラのある性格もこの才能の裏返しのように思えてきた。
彼の方も俺という相方が存在するおかげで、出来ることが大幅に増えているのが有難いようだ。
俺が頷くと、しみじみとした感じで秀作さんは言葉を続ける。

「それにしても…分かっちゃいたがお前、妙穂の事が余程気に入ってるんだな」

俺は言葉を失う。
考えてみれば、こうやってコンビを組んでいるのも、妙穂先生を守りたいと思ったのが切っ掛けだった。
俺の様子を見ながら、頷いた秀作さんは宣言する。

「…そうだな、俺はもう妙穂には手を出さねぇ。あの女に限ってはお前に任せるよ」

別に彼女に限定した話ではなかったのだが、最初の意図から考えても俺にとっては大切な事だったので、もう一度頷いておく。



俺たちは学校外でも活動を始めた。
土曜日の夜、俺は秀作さんのアパートに泊まり込み、週末の行動を検討する。
だいたい決まったところで相棒が切り出す。

「んじゃ、風呂いこうぜ、近くに良い銭湯があるんだ」

俺は頷き、荷物から色々取り出そうとする。

「なにやってんだ?俺たちが風呂っていったら、あれだろ?」

ニヤニヤ笑いながら床に寝転がり霊体となった相方を俺も追う。
ついていくと、そこはかなり設備が充実した、いわゆるスーパー銭湯だった。
人の流れにそって男湯に入りそうになり、俺は苦笑いする。
すぐに女たちに交じって女湯のほうの暖簾をくぐり直す。
思ったよりずっと多くいた若い女たちの脱衣する光景で目を楽しませながら、俺たちは品定めを始める。
やがてマッサージチェアーに座っている二人組が目に留まり、早速、俺たちが乗り移る。
入浴後だったみたいだが、それぞれ成りすますともう一度裸になり浴場に入る。
お互いの体を丁寧に洗いあいこした後は湯船に浸かり、水面下で自分の体を弄り回して楽しむ。

(んー、女の体で入浴ってのも普通にいいな。胸のところに変な浮力を感じたりするのも新鮮だ)

しかし、十分に温まっていた体だったようで、のぼせてしまい、結局はすぐに脱衣所に戻って体を開放することになった。



次の日、出かけた俺たちはホテルの一室を借りると、すぐに霊体となって隣接するイベント会場に向かう。
そこではミスコンが行われていた。
壇上に並ぶ出場者たちを丁寧に見比べ、それぞれ決めた相手に隙をみて乗り移る。
今までミスコンは見る側が一方的に得をするサービスだと思っていたが、とんでもなかった。
出場者側からすれば自慢の容姿を見られる…いや、見せつける快感があることに俺は気づかされた。
そして会場にいる男たちが欲望の目で、女たちは羨望の目で見つめるこの美女の全てが、今、俺のものであるという優越感で最高に気分が良かった。
待機時間にトイレに駆け込んだ俺たちは、じっくりとオナニーを楽しみ、上気した体のままで水着審査のアピールタイムに臨むという勝負に出た。
反則すれすれのエロアピールを駆使した結果、秀作さん(が乗り移った女)が優勝、俺(が乗り移った女)が準優勝だった。
素泊まりとはいえ宿泊料金の出費が痛いので何度も出来ることではないが、十分に俺たちは楽しむことができたし、女たちも1・2位を獲れたのだ、本望だろう。
まあ、芸能デビュー出来たとしても、エロ路線になりそうだが。


そしてついにその時がやってきた。


「あー、ミスコン負けちまって悔しいな~」

帰りの電車の中で大して悔しそうにない声で俺は独り言のように秀作さんに話しかける。
だが返事は無かった。
横を向くと相棒の様子がおかしい事に気づく。

「うぅぅぅ…」

目を閉じて苦しそうに呻いている。

「秀作さん、どうしたんです?大丈夫ですか?あ!」

相棒の肩を揺らし意識を確認しようとして俺は気づく。

(なんだこれは!)

俺の目に映る相棒の霊体に紫色の斑点が大量に浮かび上がっている。
まるで紫色のカビが全身を汚しているようだ。
これが原因なのは間違いないだろうが、どうしたら良いか分からない。
電車が駅に着くと俺は相棒を担ぎ、とにかく彼のアパートへと向かう。
なんとか部屋に辿り着き布団の上に横たわると、秀作さんは弱々しく語り始めた。

「すまねぇな…、これが尋常でないことは分かる。でもな、俺はバチが当たったとは思わねぇぞ。たとえ最初からこうなることが分かっていても、俺は間違いなく楽しんだはずだ…。言うなれば、これは『代金』だ…」

苦しそうに語り終えて眠りにつく相棒を見守りながら、俺は気づいてしまった。

(他人事じゃないぞ、俺にも起こるんじゃ…)

俺は恐怖した。
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コメント

No title

秀作さんがどうなるのか気になりますね。
個人的には更にダークな展開になるのも好きですが
果たしてどういう方向に向かうのか?
注目しています。

いつもコメントありがとうございます

今回の話は、個人的な迷いが出ています。
話の流れは既定路線だったのですが、話が中途半端になってしまっている感が自分でもあります。
それでも公開したのは、とにかく話を進めて自分の書きたいところに力を入れようと思ったからです。
予定では残り2、3話で終わらせて、後から良いシチュエーションが思いついたら外伝という形で書こうと考えています。
時間が掛かるかもしれませんが、楽しみにしていただけると嬉しいです。

No title

なるほど、そうでしたか。
続きを楽しみに待っています。
ですが、体を壊しやすい陽気ですからご無理はなさらないでくださいね。

気を付けます。


> ですが、体を壊しやすい陽気ですからご無理はなさらないでくださいね。

風邪薬を飲みながらコメントチェックしてて苦笑いです。
でも大したことないので色々と支障はありません。

No title

あら、、でも念の為ご自愛くださいね。^^

No title

風邪を召された上に大雨が降りましたが…
大丈夫ですか?

無事です。

雨、本当に凄かったですね。
体調は少し崩してしまって、コメントやツイッターをちょくちょくチェックする程度で後はゆっくりしてます。
次のアップは…それなりに頑張ります。

良かったです。

大変な被害が出ていますね…。
こちら首都圏では余り雨は降りませんでした。

どうもお騒がせしました。
ご無理はなさらずにゆっくり休んで下さいね。

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夜明けの街

Author:夜明けの街
『自分を満足させるには自分で書くしかない』という信念でダークな話を書いています。

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