FC2ブログ

記事一覧

(連載小説)婆ちゃんの贈り物 第4話


19時になった。
俺は祖母がやっている占いの店に急ぐ。
店は駅前の雑居ビルの奥にある。
店舗自体は結構広めでいくつかの部屋があり、受付兼助手の女性スタッフがいたはずだ。
外に看板を出しているわけでもないので知らない人間はまず近寄ることはない。
どうやって客を集めているのかは前から疑問だった。


「え?」

店の前に見覚えのある女性の後ろ姿を見つけて俺は動揺する。
その女性、小岸希美は俺に気づくと声を掛けてくる。

「あら、成松君?どうしたの、こんなところで?」

「先生こそ、どうしたんですか?」

「私はここの占いの店に用があってきたの。凄く良く当たるのよ。で、君はどうしたの?」

「実は祖母の店なんです、ここ」

「まあ、そうだったの、凄い偶然ね。立ち話もなんだし、一緒に中に入りましょうか」

受付の女性は、俺が前に来た時とは別の人だった。
前の人もそうだったがかなりの美人だ。
俺は自分が婆ちゃんの孫で今日呼ばれたことを告げ、希美先生は受付の用紙に記入を始める。
先生が受付を終えると奥から婆ちゃんが顔を出した。

「いらっしゃい、正輝と小岸さん」

俺たちを笑顔で迎える。

「成松君のお婆様だったんですね。お歳を召した感じでないのに高校生のお孫さんがいらしたんですね、驚きました」

希美先生は本当に感心しているようだった。
実際まだ50半ばで、見た目は更に若い。
若い頃はかなりの美人だったことは容易にうかがえる。

「それにしても凄い偶然ですね」

先生のしみじみとした感想に、婆ちゃんはそっけなく答える。

「それがそうでもないんだよ。希美は『コンパニオン』になりな」

すると希美先生は顔から笑みを消し、畏まるように視線を伏せる。
婆ちゃんの方は笑顔から一変して厳しい顔になる。

「希美、お前は『コンパニオン』として正輝を満足させられなかったみたいだね。まだ『コンパニオン』になって日が浅いから仕方ないのかもしれないけど、次はそんなことがないよう、しっかり勉強するんだよ!」

突然の強い口調の説教に希美先生は恐縮して深く頭を下げる。

「申し訳ありませんでした。『コンパニオン』としてもっと勉強して、満足して頂けるように頑張ります」

婆ちゃんは先生の謝罪に頷くとスタッフの女性に指示を出す。

「よし、いつものようにビデオを見せながら実技の練習をやらせな」

希美先生は奥の部屋に連れていかれた。
一連の流れを唖然として見ていた俺に祖母が声を掛ける。

「お前の初めてを台無しにして済まなかったね。お前のお気に入りというから『コンパニオン』に採用したんだが、まだ教育が足りなかったようだね」

「い、いや、婆ちゃん、誤解だよ。希美先生はちゃんと俺をリードしてやらせてくれたよ!」

「そうなのかい?でもまあ勉強不足なのは確かだし、鍛えておいたほうがいいね」

「それよりもさ、いったい何がどうなってるんだよ?」

「そうだね、折角の機会だからお前にも教えておくかね」

祖母は説明を始めた。
関連記事

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

夜明けの街

Author:夜明けの街
『自分を満足させるには自分で書くしかない』という信念でダークな話を書いています。

コメントや拍手を残して頂けるとヤル気に繋がります。

Pixivでも作品の公開をしています。
↓↓↓のリンク集の中にあります。

当ブログ内の文章の無断転載は禁止です。

リンクはフリーです。

訪問者数

2018年5月1日から

ツイッター