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(連載小説)憑依の研究 第7話 初めての憑依


用務員室で打ち合わせ…というより、憑依に関するノウハウの説明が始まった。
話を長々と聞きながら俺は考えた。
この男、頭は悪くない。
憑依能力に関して自分なりに考えて検証していることは素直に感心した。
問題は性格だ。
思い付きや感情的な言動が多い。
だからこそ未知のリスクがあるかもしれない憑依という行為を遠慮なくやっているのだろう。
用務員の説明は感覚的で、しかも脱線して自慢話になったりするので、時間が無駄に過ぎていく。
それでもなんとか、これまでに見てきた事実と照らし合わせて俺なりに理解していく。
どうやら憑依には3つの段階があるようだ。

1つ目は、ただ体を乗っ取っただけの状態。
言動は乗っ取った側のものがそのまま出るようだ。

2つ目は、記憶や意識を使って成りすましている状態。
通常の会話や動作が自然と本人のようになるらしい。

そして最後は、本人の意識を表に出してやらせている状態。
乗っ取った体の持ち主しか出来ないようなこと…妙穂先生なら国語の授業…を本人の意識にやらせることが出来るようだ。
他にもコツやら色々説明されたが、こちらは実際にやってみないと何とも言えない。


気づくと外は薄暗くなっていた。

「じゃあ、今日はここまでですかね?」

俺が頃合いを見て切り出すと用務員は意外そうな顔をする。

「なんだ?すぐに試してみたくねぇのか?」

あまり乗り気でない俺に続けて声を掛ける。

「今の時間なら丁度良い2人がいるはずだぜ?」

(ふたり?)

俺が疑問を抱くのも関係なしに話を進める。

「使用届が出てたから間違いないはずだ。ついてこい」

俺たちは部屋を出ると真っすぐ体育館に向かう。
確かに練習室だけ照明がついているのが見える。

(こんな時間まで練習か…大会でも近いのか?)

到着して中を覗くとレオタード姿の女子とジャージ姿の女性がいた。
新体操部の水無月渓子とコーチだった。

「おい、覗き見してる奴がいねぇか、その辺見てこい」

俺たちが正にそうなのだが、確かに他に居たら面倒だ。
俺は念入りに周辺を伺い、他に誰も居ないことを確認する。

「これはここに置いてと…俺の指示には絶対従うんだぞ、いいな?」

用務員はスマホを入口の側に置きながら俺に念を押すと、木陰の壁に背を預けて霊体になって肉体から出ると、練習室の中に入る。
俺も木陰に肉体を隠して霊体だけ抜け出して後を追う。


コーチの方を間近で見るのは初めてだが、噂通りの美形だ。
確かうちの学校の卒業生で、本人も現役選手だったはずだ。
渓子と同じように、今は髪を後ろで束ねてポニーテールにしている。
二人とも胸は控えめだが、決して物足りない訳ではなく、スラリとした体形に合った形と大きさを持っている。
自然と姿勢が良い美女と美少女は、ただ立っているだけで華がある。
俺たちは演技の打ち合わせをしている二人に忍び寄る。

「じゃあ、今のでやってみて」

「はい、コーチ!」

渓子がボールを持って練習場の中央に進むと、コーチが曲を掛ける。
演技が始まるとコーチは側にあったパイプ椅子に座る。
次の瞬間、用務員の霊体が彼女の顔をぶん殴る。

「!」

美人コーチの魂の輝きが弱々しいものとなり、目を開いたまま気絶して椅子にもたれ掛かると、用務員の霊体は弛緩した美しい肉体の上に覆い被さり、そのまま入り込む。
すぐに意識を取り戻したコーチの体が動き始める。
真剣に演技を続ける渓子を他所に自分の胸を軽く揉み、笑みを浮かべる。

「俺の名前は…弥生…そうだ、今から俺は古城弥生(こじょう やよい)だ…」

記憶を辿る呟きと共に、彼女の肉体が纏う青色のオーラが赤色でコーティングされていく。
やがて演技が終わる。
呼吸を整えながら渓子が戻ってくる。

「どうだったでしょうか?」

演技の感想をコーチに求める。

「そうね…この椅子に座ってみて」

「はい?」

疑問に思いながらも信頼するコーチに従い、レオタード姿の少女はパイプ椅子にチョコンと腰掛ける。

「もっと深く座って、リラックスしてみて」

少女が言葉通りにすると、コーチは俺に目で合図する。

(ええい、ごめん!)

俺は霊体の拳を振り上げると、女の子の顔を殴るのは気が引けたので腹部に振り下ろす。

(気絶しろ!)

念じながら殴ることで、こちらの意思を相手にぶつけることが出来るらしい。
文字通り、思いを込めた一撃だ。
すると少女はわずかに目を見開き、訳の分からないまま気絶する。

「さあ、中に入ってみて」

美人コーチに促されて、俺は渓子の上に乗っかかると、抵抗を感じつつもゆっくりと沈み込んでいく。
完全に入り込むと突然視界が切り替わった。
俺は驚いて体を起こすと、自分の手を見つめる。
体にピタリと張り付いたレオタードの感触が伝わってくる。
細い手が俺の意思に従って開いたり閉じたりする。
そして、思い出したように自分の胸に持っていき、そこにある柔らかい膨らみを鷲掴みしてしまう。

「わ、あわわ」

意味不明の声を出してしまうが、聞き慣れた自分の声ではなく可愛らしい声だった。

「どう?女の体になった感想は?」

入口に置いてあったスマホを回収してきた美人コーチが俺に話しかけてくる。

「…すごい…」

未知の感覚に戸惑っている俺にはそれしか言えなかった。

「面倒なことになったらいけないから、さっさと次にいくわよ。教えたとおりにその娘になりきってみて」

俺は気持ちをとりなおし、説明を思い出す。

(えーと、この体の持ち主の意識を感じて…うぉ!本当に感じる。なんだか変な気分だ。で、意識の中に入り込む感じだったか…記憶を辿るように呟けばやり易いっていってたな…)

「えーと名前…渓子…水無月渓子…俺の名前は水無月渓子…」

渓子の記憶を辿って、俺は呪文を呟くように続ける。

「…2年生…新体操部…今度の大会は頑張らないと…」

渓子の意識が自分のものになっていく。

「凄い!私、水無月渓子になってる!」

先程まで感じていた違和感がなくなり、口調も完全に渓子のものになっていた。

「いい感じね、良く出来たわね」

コーチが褒めてくれた。

「はい!」

渓子の意識がコーチに褒められたことで素直に喜んでいる。

「次はもっと水無月さんの意識を表面に出してみて。自分の意識を奥に沈めて、そこから指示を出す感じで」

言われた通りに意識を沈めて、渓子の意識に体の制御を任せる。

「じゃあ、まずは裸になりましょうか」

弥生コーチに言われ、渓子の意識に戸惑いが生じる。

(自分で動かすのではなく、渓子の意識にやらせる感じか)

俺が意識の内側から後押しすると、自然と体が動き出す。
まずレオタードを脱ぎ捨てると、装飾が無く地味な色をした専用の下着姿になる。

(なるほど、これで色んなラインが表に出ないようにしてるんだな)

俺が感心している間にも体は動き続け、とうとう全裸になる。

「いいわね。じゃあ曲を掛けるから、そのまま演技してみて」

弥生コーチに言われ、俺が渓子の意識を再び促すと、体が勝手に練習場の中央に進み、開始のポーズをとる。
するとコーチはスマホのカメラをこちらに向けて録画を始め、曲を掛ける。
曲に合わせて渓子の体が演技を始める。

(凄い…自分の体になってる感覚はあるのに…勝手に動いてる…)

裸なので少し具合が違うようだが、渓子の意識は何とか修正している。

(…楽しいな、これ…)

用務員の奴が楽しそうに語っていたのが今の俺には理解できた。

「私もちょっとだけ楽しませてもらうわ」

そう言いながら美人コーチもジャージの中に空いた手を入れて、自分の胸や股間を弄り始める。
やがて演技が終わり、コーチの元に戻る。

「残るは後始末ね。まずは着ないといけないわね」

コーチに言われたからか、俺が意識しないでも渓子の体は勝手に下着を身に着けレオタードを着てしまう。

「じゃあ、ここに座って先に出て」

指示通り椅子に座り、体から霊体になって出ると、糸が切れた人形のように少女の体が椅子に沈む。
そして俺が渓子の霊体を『起きろ』と念じながら軽く叩くと、渓子の体が意識を取り戻す。

「あ、あれ?」

首を傾げる渓子。

「どうしたの、水無月さん?」

コーチに問われて、思い出したように顔を赤くする。

「い、いえ、私、いま裸になって演技していたような気がして…」

「何おかしなこと言っているの、夢でも見ていたんじゃない?さあ、次の演技にいってみて」

「…はい」

釈然としないものがあるものの、コーチの言葉に従って渓子は再び演技を始める。
それを確認してから弥生の体はスマホを元の場所に置き、戻ってくると椅子に座る。
そして用務員の霊体が出てくると、また糸の切れた人形のように椅子にもたれ掛かるが、すぐに奴の霊体に顔を軽く叩かれて弥生の意識が戻る。

「え?」

違和感を感じキョトンとするが、目の前で渓子が演技してるのでそれに意識が行き、集中しはじめる。


俺たちは自分の肉体に戻り、起き上がる。
用務員は自分のスマホを取り上げ、確認して喜ぶ。

「へへ、美人教師のオナニー動画に続いて、美少女の裸踊りの動画をゲットだぜ!」

相方に振り回されっぱなしで慌ただしい初体験だったが、女に憑依する楽しさを知ることが出来て俺も満足だった。
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コメント

今後も楽しみな展開ですね!
続きを待ってます。

コメントありがとうございます。

第2部が始まりました。
内容が単調にならないように気を付けて書いていこうと思います。

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