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(連載小説)婆ちゃんの贈り物 第2話


日曜日になり、外出した時の事だった。
繁華街がある駅の改札を出て、何か食べようと周りを眺めていると、見知った女性を見つけた。

「あれって希美先生…だよな?」

彼女は、この駅の待ち合わせに使われている場所に一人で立っていた。
疑問符がついたのは、雰囲気が普段と全然違っていたからだ。
いつもの清潔感のある落ち着いた感じではなく、体のラインを強調して胸の谷間も見せつけるような派手な服装で、化粧も濃い目だ。
全体的に若い男より年上の男に受けが良さそうな姿だった。
俺は近づいてあらためて本人だと確認する。
先生の方は誰かと待ち合わせなのか、頻繁に時間を気にしていて俺のことに気づかない。
俺が普段との落差に戸惑い、声を掛けるかどうか迷っていると、中年の男が先生に声を掛けた。

「君が『コンパニオン』だよね?」

先生は声を掛けてきた男に向き直ると名前を尋ね、確認すると満面の笑みを浮かべ丁寧にお辞儀する。

「今日はよろしくお願いします」

「うん、こっちこそよろしくね。ところで、そこの男の子がさっきから君のことを見てるみたいだけど、知り合いかい?」

指摘されて先生はこちらを振り向く。
そして不思議そうに首をわずかに傾ける。

「いいえ、全然知りません。それより時間が惜しいです。はやく行きましょう」

そういって男に寄り添うと腕を組み歩き始めた。
俺は呆然として二人を見送る事しかできなかった。
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