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(連載小説)憑依の研究 第5話 痴態と勧誘

妙穂先生モドキ――用務員に乗っ取られた妙穂先生――に誘われて、俺は用務員室に入る。
学校の備品やら整備道具などが散乱している床に埋もれるように意識のない男が横になっていた。
モドキは男のポケットを探ってスマホを取り出すと、俺に差し出してきた。
「一人でこの体を楽しむつもりだったんだが、折角お前が来たんだ、このスマホで撮影してくれねぇか?」
突然の申し出に俺が驚き、戸惑い、そして怒りがこみ上げると、意外そうな顔をする妙穂モドキ。
「特別サービスのつもりだったんだが、まさかそんな顔をするとはな。じゃあ、これならどうだ?」
ブツブツと小声でつぶやき始める。
「…俺の名前は椎木妙穂…そうだ…私は椎木妙穂よ…」
再び先生の体が纏うオーラがピンクにコーティングされ、雰囲気が一変する。
「…尾畑君、お願い。先生の今からすることを撮影してほしいの。ね、いいでしょ?」
あからさまな媚に俺がためらうと更に追い打ちをかけてくる。
「ねえ、私のこと嫌い?私の裸を見たくないの?君にだったら見せてもいいのよ?」
自分の大きな胸に手を添えて強調しながら、切ない表情をする女教師モドキ。
とうとう俺の理性がふっとび、スマホを受け取ると構えて録画を開始した。
その様子をみた妙穂モドキは満足そうに微笑むと服に手を掛けて、俺に見せつけるように脱ぎ捨てていく。
ついに下着も剥がされ全裸になる。
肌は白くツヤがあり、胸は細身に合わない大きさなのに重力に逆らって綺麗な形を保ち、乳首だけほんのりと色がついていた。
股間にはうっすらとした茂みしかなく、スリットからピンク色がちらちらと見え隠れする。
俺は唾を飲み込みながら黙々とスマホを構え続ける。
そんな俺の様子を愉快そうに確認した妙穂モドキは、左手で乳房を下から持ち上げるように愛撫しはじめ、指先で乳首を激しくいじり始める。
右手は股間へと延び、細い指先をスリットに潜り込ませて探るようにまさぐり始める。
「…私の感じるところ…そう、ここをこうやって…ああ、いい!」
自分の感じる場所を思い出しながら弄っているようだった。
AVで定番のオナニーといえど、見知った女性、それも妙穂先生ほどの美女が目の前でやっているのだ、俺の受ける衝撃は凄まじいものだった。
憧れの女性の想像を超えた姿を目にして興奮の限界を超えた俺は呼吸が苦しくなり頭がくらくらしてきたが、スマホだけは正常にその痴態を撮り続けた…。

「君、大丈夫?鼻血が出てるわよ?」
いつの間にか床に伸びていた俺を、心配そうな顔をした妙穂先生が覗き込んでいた。
気づかないうちにオナニーショーは終わっており、先生も服を着ていた。
もしかして夢オチか…と頭によぎったが、先生の纏うオーラが急速に青色になり、表情も下品な笑みに変わる。
「ぎゃはは、なんて情けねぇツラしてやがんだ。まあいい、この体、戻してくるからそれまでゆっくり休んでろ」
そう言い放つと妙穂モドキは部屋を出ていった。

しばらくすると霊体が戻ってきた。
俺の周りをうろうろしたあと、自分の体に戻る。
「…俺の霊体が見えてるのは確かなようだな」
起き上がりの第一声だった。
「だけどよぉ、その様子だとまだ女に乗り移ったことは無いみたいだな」
俺は頷く。
「だったら俺と手を組まないか?色々教えてやるぜ?」
用務員はニヤリと笑い、言葉を続ける。
「ただし条件がある。さっきの話だ。校長に俺が悪くなかったと言え。言いにくいのなら俺が妙穂になって付き添ってやってもいいぜ?」
正義感や憧れの人をオモチャのように使われたという怒りは存在する。
同時に、とてつもないチャンスが回ってきたような気もした。
(結論を出すには分からないことが多すぎだ)
そう気づき、俺は口を開いた。
「…いくつか質問しても良いですか?」
「まあ、答えられることならな」
「…乗り移っていた間の先生の記憶はどうなってるんですか?」
「そいつに成りすましている間は女の意識を使ってるから、夢の中の出来事みたいに薄っすらと覚えているみたいだぜ?まあ、おかしいと思ったとしても、結局は勝手に自分で記憶を捏造したりして納得するみたいだがな」
俺は質問を続ける。
「どうやってあんなことが出来るようになったんですか?」
「病院でよ、なかなか美人の看護師がいたから乗り移ってやろうとしたらよ、上手く入れないわ、強引に入ろうとしたら気味悪がって逃げだしたりわでムカついてよ…」
(ここまでは俺と一緒だ)
「…ここからちょっとしたコツがあるんだが、今はまだ言えねぇな…。ま、とにかく上手くいったんだ」
(ぶん殴ってただけに見えたが、他に何かあるのか?)
そこで初めて用務員は苦い顔になる。
「まあ、俺も初めての楽しすぎる体験に舞い上がってしまって、その…やりすぎたっちゅうか。結局、その女は病院をクビになってしまってな…。さすがにこいつはつまらないと反省したのさ。確かに美人に乗り移って滅茶苦茶やったことに一時的な快感はあったけどよ。冷静になったら折角手に入れた『玩具』を壊した気分になってな」
ニヤリと嫌らしい笑みを浮かべて続ける。
「で、それからは摘まみ食いしながら色々試してみたのさ。その女になりすませるようになったのもその成果さ。だけど退院してからも近所の女で色々楽しませてもらったが、いまいち気に入る女がいなくてな。もちろん、楽しむんだから見栄えの良い女を選ぶのは当たり前なんだが、ただそれだけじゃつまらなくてな。特別な立場の女に乗り移って、そいつに成りすますのって、考えただけでゾクゾクしねえか?」
言われてみれば、アニメや戦隊もので女性隊員になりすまして内部から破壊工作を企む話に興奮した覚えが俺にもある。
そして俺は気づいた。
この男に感じていた怒りの半分は、『美女に乗り移る』という男の夢を実現した事への嫉妬だということを。

「…手を組む話、少し考えさせてください」
「そうか、まあいいだろう。だが俺の邪魔だけはするんじゃねぇぞ」
俺は部屋を出る。
歩きながら考える。
この能力を使えば、普通では出来ない体験ができる。
だが恐ろしくもあった。
他人の人生をぶち壊すことだってできるのである。
罪悪感があった。
考えがまとまらないので、もう一つの気になることを確認することにする。
(とにかく、妙穂先生の様子を見に行ってみよう)
俺は職員室に向かう。
中を覗こうとドアに近づくと出てきた人物とぶつかりそうになる。
「あ、尾畑君、ごめん!」
何か慌てた様子の妙穂先生だった。
その姿と声に俺の胸はドクンと1つ高鳴る。
先程のオナニーショーを思い出し、息が荒くなり股間が固くなるが、呼吸だけでもなんとか落ち着かせて言葉を出す。
「何かあったんですか?」
妙穂先生は弱々しく微笑む。
「…その、私ちょっと居眠りしてたみたいで今日の仕事が遅れてるの…疲れてるのかな?」
先生の中では空白の時間が勝手に居眠りしていたことになったようだ。
俺は安堵する。
(よかった、いつもの先生に戻ってる)
だが先生は俺の顔をまじまじと見始める。
「どうしたんですか?」
「え?あ、うん、何か君と話をして、それから…!」
急に先生は顔を赤くして言葉が詰まる。
「な、なんでもない。変な夢を見たような気がしただけ。私、急いでるからそれじゃあね」
そういって彼女は急ぎ足で去っていく。
(どうやら本当に夢の中の体験みたいに記憶が残っているんだな)
先生の後姿を見送りながら用務員の言葉を思い出し、俺はこれからどうするかを思案しはじめた。
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