FC2ブログ

記事一覧

(短編小説)騙し討ち

各地で蠢動する闇の勢力。
それに対抗するため立ち上がった光の戦士たちの軍勢。
連勝し続けるものの、苦戦が続く彼らに朗報がもたらされた。
『光の女神の愛娘』と謳われる実力と美貌を持つという大魔導士ジェシカが合流を希望していると使いの使者がやってきたのだ。
もちろん喜んで受け入れることを決した光の戦士達は彼女が守護する聖地に向けて軍を進める。
彼女からの使者であった女剣士シャロンは、その知らせを持って急ぎ聖地に戻るのであった。

………

「きゃーーーーー!」

馬で急いでいたシャロンの元に若い女性の悲鳴が届く。
美貌の女剣士は直ちに声の方角に馬を強く走らせる。
数秒後に見えたのは、村娘風の質素な服装の少女が3体のゴブリンに追われてる様だった。
間に割って入り素早く下馬すると、一瞬のうちに3体とも仕留めてしまう。

「ありがとうございます、剣士様!」

綺麗なドレスの方がずっと似合いそうな美少女が、好意を抱かせる明るい笑顔でシャロンに礼を述べる。

「いや、大したことはしていない。この程度の相手なら何の危険もないしな」

照れ隠しで若干ぶっきらぼうな言い方になってしまっていた。

「いえ、剣士様が来て頂けなかったら私は殺されていました。あなたは命の恩人です。何かお礼に差し上げられそうなもの…あ、そうだ、これを…」

少女は懐から美しい宝石のついたペンダントを取り出してシャロンの前にかざす。

(そんなものは受け取れない)

と言葉に出すつもりが、その宝石の妖しい輝きに意識を奪われて声がでない。

「もっとよく見てください、剣士様」

笑顔の少女が差し出したペンダントを言われるまま見つめる。
頭の中に靄がかかってきたように何も考えられなくなっていく。

「大丈夫ですか?あとは私に任せて、考えるのをやめてくださいね」

そう優しい笑顔で言われたシャロンは、素直に頷き自分で考えることをやめた。

「ふふふ、じゃあ、あなたはこれから………」

………

数時間後、ジェシカはシャロンが戻ってきたことを知る。
ただし予定外の人物と共に。

「あなたがジェシカさまですか?」

その少女は愛らしい笑顔を浮かべ質問する。

「ええ、そうです。私がジェシカです」

鮮やかな赤いローブを纏い、その容姿は噂通りの美しさと知的な雰囲気があふれている。

「あなたは誰ですか?それに後ろのシャロンさんの様子がおかしいようですけど、何があったのですか?」

本当なら一番に報告しなくてはならない人物が黙ったまま、少女に付き従うように立っている。

「シャロンさんにお願いして、ここまで案内して頂いたのですよ。で、彼女の状態を知ってもらうには、これを見てもらうのが一番でして…」

人懐っこい笑顔を浮かべながら、少女は懐から宝石つきのペンダントを取り出しジェシカに突きつける。

「え?」

一瞬だけ驚くような声を挙げるとジェシカの顔から意思が消えていく。

「ほら、もっとよく見てください」

笑みを浮かべながらペンダントをもっとよく近づける。
すると突然、ジェシカの顔がノッペラボウになる。
それだけでは無く、体全体がマネキン人形に変わってしまっていた。

「え?」

今度は少女が驚きの声を挙げる番だった。
次の瞬間、雷撃が少女を襲い、悲鳴を挙げる間もなく倒れてしまう。
魔法の飛んできた方角から本物のジェシカが現れる。

「結界にシャロンさん以外の人間が入ってきたので用心のためにダミー人形を使ってみましたが正解だったようですね。それにしてもこの少女は何者なのでしょう?」

そう呟きながらもシャロンの様子が心配で彼女の方を先に診る。

「あのペンダントで精神支配を受けてるのでしょうか?」

そう考え、精神の異常を解除する魔法をシャロンにかけてみる。
すると彼女の表情が生気を取り戻して動き出す。

「え?ジェシカさま?私は何をして…」

「もう大丈夫なようですね。何があったのか教えてください」

シャロンはキョロキョロと回りを見渡し、倒れている少女や床に転がっているペンダントをみて、頭の中を整理しているようだった。

「あ、そうです!この少女にこのペンダントを…」

そう言いながら床に落ちていたペンダントを拾い上げると、ジェシカの目の前に突きつける。

「こんな風に突きつけられて…」

美しい宝石が妖しい光を放つと、ジェシカの頭の中に靄がかかり始める。
危険を感じ目を反らそうとすると声が掛かる。

「ジェシカさま、大事な手がかりですから目を反らさず良く見てください」

信頼している人物からの声に促され、ジェシカは従ってしまう。

「ジェシカさま?気分でも悪いのですか?でしたら服を脱げば楽になりますよ?ここには私しか居ませんし、私も脱ぎますから大丈夫ですよ?」

そう言いながらシャロンが服を脱ぎ始めたので、ジェシカも当然のように脱ぎ始める。

「どうせですから全部脱いじゃいましょう。私も裸になりますね」

シャロンが美しい全裸を晒すと、ジェシカも少し遅れて全裸になる。

「ふふふ、素敵ですよ。では後のことは私に任せて、ジェシカ様は何も考えられなくなってください」

「わたしはもう…何も…考え…られ……」

ジェシカは遠くを見つめるような表情で、その美しい肢体を恥ずかしげもなく晒したまま棒立ちになってしまった。
その様子にシャロンは満足げに1つ頷く。

「さて、まずはこの体を戻さないといけないわね」

シャロンは独り言を呟きながら背負い袋の中のものを取り出す。
それは女のミイラだった。
折りたたんでいた手足を広げて床に寝かせると、その口に自分の口を付ける。
するとシャロンの中からミイラの中に何かが流れこみ始め、シャロンの体から肉の厚みがどんどん消えていく。
逆にミイラだったものは徐々に肉をつけていき、やがて美しき女剣士シャロンに戻っていく。

「ふう」

さっきまでシャロンだった人物は全てを出し切ると、気怠そうに立ち上がった。
股間にお飾り程度のペニスがついているのでかろうじて男だとわかる。
ミイラのようにガリガリに痩せ細った体に男の力強さは微塵も感じられない。

「この姿に戻るのは、仕方ないにしても辛いぜ。だが…」

男は全裸で棒立ちのジェシカに近づくと遠慮なくその乳房にしゃぶりつき、空いた手をお尻や股間に持っていき、その柔らかい肉付きを楽しむ。
美貌の魔導士は微かに反応するものの、抵抗することなく男の愛撫を受ける。

「噂には聞いていたが、これ程までの上玉だったとは!闇の女神よ、感謝します!」

男は自分の仕える女神に感謝の言葉を捧げながらジェシカと唇を重ねる。
二人の体が同時に脈打つように一度動くと、口を通してジェシカから男へ『ジェシカの存在』そのものが流れ込み始める。
美しかった女の肉体は輝きを失いながら萎んでいく。
同時にミイラのようだった男の体に色艶と柔らかさを持つ肉がついていき、頭には艶やかな黒髪も生えて、美しい女へと変貌していく。

「ああっ!」

途中でジェシカは意識を取り戻し苦しそうな声を挙げるが、時すでに遅く、次の瞬間には自分がジェシカであった記憶さえも奪われてしまい、ミイラとなって床に転がった。
一人立つ裸体の美女はゆっくりと歩き出し姿見の前に立つと、そこに映る自分の姿に満足そうに頷く。

「素晴らしい体ですね」

体のあちこちを触り、その感触を楽しみながら呟く。

「あなたがくれたこの体、大事に使って差し上げますね」

鏡の中に映るジェシカに向かって約束する。
次に床に裸で寝ているシャロンに視線を向けると、声を掛ける。

「さあシャロンさん、起きてください」

シャロンの目が開くとゆっくりと起き上がる。

「あなたはこれから『私』の忠実な下僕として生きるのですよ。わかりますね?」

「はい」

美しき女剣士は素直に頷いた。

………

やがて到着した光の戦士たちの軍勢に、ジェシカとシャロンは歓喜と共に迎えられる。
しばらくは優勢が続いた彼らだったが、ある日突然、美しき女性指揮官たちが一斉に姿を消す。
混乱する光の軍勢は数日後、優秀な彼女たちに率いられた闇の軍勢に襲われ、なすすべもなく滅ぼされるのだった。

(あとがき)
この作品は昔のアニメ『天空のエスカフローネ』に登場する『まやかしびと』からヒントを得たものです。
アニメの中では修行僧?の体を奪っていましたが、これが女性の体を奪うシーンだったら伝説のアニメになっていたはずなのですが…その残念な思いがベースとなっています。

コメント

コメントの投稿

非公開コメント