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記事一覧

(連載小説)婆ちゃんの贈り物 第7話

次の日、授業が全て終わり、ホームルームが始まった。希美先生をいつもと違った意味でまじまじと見つめる。まだ変わった様子はない。終わって退出する先生を少し離れて追いかける。先生は教室を出ると職員室に向かって歩き始めるが、何かを思い出したように歩みを止めると、突然向きを変える。その瞬間に目が合ってしまう。俺が戸惑っていると近づき話しかけてきた。「どうしたの?私に何か用かしら?」「いえ、その…」俺が言葉に...

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(連載小説)婆ちゃんの贈り物 第6話

「次は私から聞きたいんだけど、お前の学校に他に上玉はいないかい?あたしのお眼鏡にかなう女がいたら『コンパニオン』に採用するよ。なんだったらそいつらにもお前の相手をさせてやるよ、どうだい?」俺の脳裏に二人の女教師の顔が浮かぶ。俺は祖母に詳しく語る。「ふむふむ、英語教師の華立陽菜乃(はなたて ひなの)に擁護教諭の古閑優奈(こが ゆうな)ね」婆ちゃんは熱心にメモをとる。「おい、希美を連れてきな」スタッフ...

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(連載小説)婆ちゃんの贈り物 第5話

「あたしの本当の特技は、占いなんかじゃなくて女に別人格を植え付けることさ。この店の客は全員あたしに選ばれた女たちなのさ。あたしがいろんなところに張り巡らした網に掛かった見栄えの良い女たちがね。そうやってきた女たちに、あたしの命令に従順に従って働く『コンパニオン』の別人格を植え付けるのさ」思いがけない告白に呆気にとられた俺の顔が面白かったのか、婆ちゃんは笑みを浮かべて説明を続ける。「まあ、いきなりは...

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(連載小説)婆ちゃんの贈り物 第4話

19時になった。俺は祖母がやっている占いの店に急ぐ。店は駅前の雑居ビルの奥にある。店舗自体は結構広めでいくつかの部屋があり、受付兼助手の女性スタッフがいたはずだ。外に看板を出しているわけでもないので知らない人間はまず近寄ることはない。どうやって客を集めているのかは前から疑問だった。「え?」店の前に見覚えのある女性の後ろ姿を見つけて俺は動揺する。その女性、小岸希美は俺に気づくと声を掛けてくる。「あら...

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(連載小説)婆ちゃんの贈り物 第3話

次の日の早朝、祖母からメールが届いていた。【まだお前に入学祝いをあげてなかったね。準備しておいたから受け取りな】昨日の出来事が頭に残っていて、そんなものを受け取る気分ではなかったが、無視する訳にもいかず、帰りに店の方に立ち寄ることを予定に入れて学校に向かう。授業がすべて終わりホームルームの時間になった。教壇では普段通りの姿の希美先生がその容姿に相応しい綺麗な声で連絡事項を述べている。クラスの男子に...

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(連載小説)婆ちゃんの贈り物 第2話

日曜日になり、外出した時の事だった。繁華街がある駅の改札を出て、何か食べようと周りを眺めていると、見知った女性を見つけた。「あれって希美先生…だよな?」彼女は、この駅の待ち合わせに使われている場所に一人で立っていた。疑問符がついたのは、雰囲気が普段と全然違っていたからだ。いつもの清潔感のある落ち着いた感じではなく、体のラインを強調して胸の谷間も見せつけるような派手な服装で、化粧も濃い目だ。全体的に...

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(連載小説)婆ちゃんの贈り物 第1話

『お前、高校生になったんだろ。どうだい、気になる女子とかいるのかい?』ある日、突然電話を掛けてきた父方の祖母の第一声である。俺、成松正輝(なりまつ まさき)も健全な男子高校生として何人か気になる女子がいたのでドキリとしたが、正直に答えるのも気恥ずかしくて誤魔化すように答える。「担任の先生が美人ってことぐらいかな」嘘ではなかった。担任の小岸希美(こぎし のぞみ)先生は、落ち着いた美貌、しっかりと凹凸...

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